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ISO/TS16949 自動車産業における品質マネジメントシステム

  • ISO/TS16949
  • ISO/TS16949現状

  •  ISO/TS16949は、現在、世界で約40,000件の認証件数があり、自動車業界の中心的な品質マネジメントシステム規格としての地位を確立しています。アジアが半数を占めており、中国10,200件、アメリカ4,300件、韓国3,800件、ドイツ3,300件、インド2,300件、日本1,200件の順となっています。日本の自動車メーカーは、下請企業にISO/TS16949の取得を強く求めていないため、日本での取得企業数は頭打ちとなっていますが、今後、世界のグローバル化が益々進展していく中で、取得企業数の増加が予想されるところです。

  • ISO/TS16949規格について

  • 本規格は、アメリカ、ヨーロッパの自動車会社/自動車産業団体で構成されるIATF(International Automotive Task Force:国際自動車特別委員会)が、国際標準化機構ISOと共同で作成・発行した規格です。IATFは、1995年に設立され、自動車メーカー9社(クライスラー、フォード、GM、BMW、フィアット、ダイムラー、フォルクスワーゲン、ルノー、プジョー・シトロエン)と自動車産業5団体(アメリカAIAG、ドイツVDA、イタリアANFIA、フランスFIEV、イギリスSMMT)で構成されています。

  • ISO/TS16949動向

  • これらの欧米各国では、自動車メーカーごとのサプライヤーに対する異なった要求事項を合理化するために、ISO9001をベースとした国別の自動車セクター規格が作成されました。即ち、VDA6.1(ドイツ)、EAQF(フランス)、AVSQ(イタリア)及びQS-9000(アメリカ)が発行され、運用されてきました。これは、リコール、製造物責任、安全及び環境、大量生産の組立産業、車両と部品との同時開発など自動車産業の特徴を考慮するとISO9001の要求事項だけでは限界があったからです。さらに、それらの各種規格を国際的に統一することを意図し、1999年に発行されたのがISO/TS16949です。ISO9001が2000年に改正されたことを受け、2002年にISO/TS16949:2002が発行され、ISO9001:2008の追補改正を受けて、2009年6月15日にISO/TS16949:2009が発行されました。

  • ISO/TS16949到達目標

  •  ISO/TS16949の到達目標は、”サプライチェーンにおける不具合予防、並びにばらつき及びムダの低減に重点を置いた継続的改善をもたらす品質マネジメントシステムをつくりあげること”と規定されています。”不具合予防”を強調しているので、不具合を出してしまってからの是正処置ではなく、そもそも顧客との契約事項である”100%適合品をオンタイムに納入する”ことを実現できる品質マネジメントシステムが志向されているのです。また、”適用される顧客固有の要求事項とともに、このTSの適用に同意する顧客のために、基本的品質マネジメントシステム要求事項を定める”とされており、顧客固有の要求事項を明記している点が、ほかの規格にはない際立った特徴です。ここで、顧客固有の要求事項とは取引ごとの顧客の要求事項ではなく、”顧客固有の要求事項は、ISO/TS16949に対する解釈又は補足事項である”と定められています。下記に「図 ISO/TS16949要求事項の構成」を示します。

    ISO/TS16949要求事項の構成
                      図 ISO/TS16949要求事項の構成

  • ISO/TS16949要求事項

  • ”顧客固有の要求事項に対する適合を審査する”ということによって、ISO/TS16949は第2者監査の色彩の強いものとなっています。米国BIG3が要求する下記5つのコアツールは顧客固有の要求事項として余りに有名です。ISO/TS16949の認証取得のためには、これらのコアツールの要求事項(又は該当する顧客固有の要求事項)をISO/TS16949の要求事項に基づき、適宜、自社の品質マネジメントシステムに取り込み、運用することが必要となります。
      APQP & CP(Advanced Product Quality Planning and Control Plan:先行製品品質計画)
     ◆PPAP(Production Part Approval Process:生産部品承認プロセス)
      SPC(Statistical Process Control:統計的工程管理)
     ぁFMEA(Potential Failure Mode and Effects Analysis:潜在的故障モード影響解析)
     ァMSA(Measurement system Analysis:測定システム解析)