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ゼロエミッション住宅(以下、ZEHという)とは、住宅における二酸化炭素(CO2)排出量を建物や付帯設備の省エネ性能を向上して削減し(パッシブ住宅)、消費する電力などのエネルギー分を太陽光・熱など再生可能エネルギーの活用でCO2排出量をゼロにする住宅をいいます。
2007年11月に公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書では、住宅・建築分野は省エネ余地が最も大きいにも拘らず依然としてCO2排出量は増加し続けている、と指摘しております。
日本も世界のすう勢と同様、他の産業部門はCO2排出量を削減しているのに対し、家庭部門の排出量は増加の一途をたどり、2006年度は16%も増えております。(1997年比)
2020年に1990年比で25%削減するという国際公約の達成には家庭部門のCO2排出量削減が重要な課題であり、低炭素化社会の実現のためにはZEH化が急務という現状です。
今回はZEHについて、今後の課題を中心にまとめてみました。
ZEH化の主要国の政策
1)米国
米国の場合には、エネルギー省が中心となって「2020年までに市場競争力を有するZEH関連技術の開発」をプロジェクトテーマとして、高性能断熱材・窓、空調、給湯などの高効率・省エネ機器の技術開発を強力に推進しております。
2)英国
英国では、2016年までに全ての新築住宅をゼロカーボン化する強制力を持つ法律が制定され、2016年以降はZEH以外の住宅は建築できないことになりました。
3)欧州連合(EU)
EUでは、2009年11月、2020年までに全新築住宅をZEH化する指令(法律)に改正され、EU加盟国は2012年までにZEH化の国内法の改正を求められております。
ZEH化の日本の取組み
日本では、環境省が取組むZEHの普及と、国土交通省が進めている「ライフサイクルカーボンマイナス住宅(LCCM住宅)」があります。
LCCM住宅 | 設計から解体・廃棄までの一生涯において、CO2総排出量をゼロ以下のマイナスにする政策です。 |
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ZEH | 年間のCO2排出量の実績をゼロにすることで、ライフサイクルは考慮されておりません。 |
パッシブ住宅 | 住宅の高断熱・高気密化に関わる建築工法の進歩や省エネ機器の 導入でCO2排出量を削減した住宅を云います。 |
1)ZEH化目標(環境省ロードマップ)
普及開始 |
すべてZEH化 |
すべてのZEH化 |
2)ZEH化における課題
住宅性能の 向上 |
次世代省エネ基準の設定・ 環境性能表示の義務化 |
・ZEH基準の策定
・住宅トップランナー制度の確立 ・住宅の省エネ基準の強化・環境性能 評価の義務化 |
省エネ性能を高める 革新技術の開発 |
・季節毎に変化する可変型住宅の開発
・自然エネルギーを利用できる空間設計 ・高性能断熱材の建材化(真空断熱材など) ・高性能断熱・遮熱窓/サッシ開発 ・日射量で変化する調光ガラスの開発 ・トップランナー方式による高効率な 省エネ・創エネ機器の開発 |
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住宅に適合した 施工技術の開発 中小工務店の 技術力向上支援 |
・省エネ性能以外の居住性(快適性、 健康性など)も維持・向上できる設計 ・地場の工務店に対する施工技術の確立、 設計マニュアルの整備、技術のデータベース化 ・地域毎のモデル住宅の展開と啓発 ・省エネ性能の評価技術の確立 |
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住宅性能の 見える化 |
CO2排出量確認と 削減意識の向上 |
・見える化機器の設置普及
・CO2排出量の効果検証 ・計測・検証・制御システムの整備 ・住宅における温室効果ガス診断の 専門家育成 |
おわりに
(1)ZEHの普及に伴うビジネスチャンスには次のような内容が挙げられます。
1)省エネ・創エネ機器の販売機会の増大
2)既存住宅のZEH化の増大(省エネリフォーム)
省エネ・創エネ機器や省エネリフォームの販売では、ライフサイクルコストや投資回収期間といった定量的な情報をいかに判りやすくお客様に伝えるかが重要になります。特に、省エネ・創エネ機器では、投資回収期間が10年以内の場合、購入希望のお客様が増える傾向にある、と言われております。(野村総研レポート;2009年)
省エネ・創エネ機器の販売や省エネリフォームとセットで販売する場合、省エネ効果や投資回収期間など経済性シミュレーションの精緻化が必要になりますので、信頼性の高いシミュレーションツールの開発が重要となります。 |
(2)ZEH化後は次のようなエネルギーサービスビジネスが期待されます。
1)エネルギー使用量の見える化のニーズに対応するサービスの提供
2)省エネアドバイスのサービスの提供
顧客満足向上やエネルギー使用量データに基づく一歩踏み込んだ省エネ提案。
3)省エネ量に応じた省エネポイント制度の提供(省エネインセンティブ制度)
(参考資料) |