第17回「エコまち法」

    環境レポート「エコまち法」

     「エコまち法」は2012年9月に公布、12月に施行された国土交通省が主管する「都市の低炭素化の促進に関する法律」の略称です。
     我が国におけるCO総排出量のうち、3部門(家庭部門、オフィスや商業等の業務部門、自動車・鉄道等の輸送部門)での排出量が全体の約5割を占めております。
     我が国は、国土の約25%を都市計画地域が占め、総人口の94%が居住しており、このうち、国土の5%程度の市街化区域等に総人口の約80%が居住している状況です。

     CO排出量が人口に比例すると仮定すれば、これら3部門のCO排出量の約80%は市街化区域等から排出され、総排出量に対しても約4割を占めていることになります。
     地球温暖化防止のためには、都市におけるCO排出量の削減、すなわち都市での低炭素化の促進が強く求められることになり、このような背景から「エコまち法」が制定されました。今回は、「エコまち法」について報告します。


  • エコまち法の目標


  • 「エコまち法」では、以下の内容としたまちづくりの実現を目標に掲げております。

  • 1. 都市機能の集約・集積化による低炭素化まちづくり
       (都市のコンパクト化)


  •   ・病院・福祉施設、共同住宅等の集約整備
      ・民間等による集約駐車場施設の整備
      ・歩いて暮らせるまちづくりのための、歩道や自転車道の整備


    エコまち法 暮らしやすい生活空間


  • 2. エネルギーの面的管理・利用を促進したまちづくり
       (省エネ・創エネ施設の拡充)

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       ・建築物の低炭素化の普及促進  
           エネルギー消費量がほぼゼロとなる「ゼロ・エミッション・ハウス」、
           CO排出量がマイナスになる「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」
       ・未利用下水熱の活用施設の整備
       ・地域冷暖房施設の整備
       ・都市公園・港湾隣接地域での太陽光発電、蓄電池の設置

     
    エコまち法 暮らしやすい生活空間


  • 3. 公共交通機関を最大限活用できるまちづくり
       (エネルギー使用の削減)


  •   ・バス路線、LRT(次世代型路面電車)・鉄道の整備
      ・貨物輸送の合理化、共同輸配送の整備
      ・環境自動車の普及によるCO2排出抑制


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  • 4. 緑地保全・創出によるまちづくり
       (緑地による市街化区域の拡散抑制)


  •   ・緑地の保全、緑地面積拡大の推進
      ・緑の創出による都市の拡散化抑制


    エコまち法 暮らしやすい生活空間



  • 低炭素まちづくり計画


  • 低炭素まちづくりは民間主導で推進されます。
    国や市町村が目指すべきビジョンを示し、住民、NPO、民間が計画を立案し、事業を推進する仕組みで運用されます。
    ビジョ ンに合致した推進事業には、国から国費率は各種ですが、財政支援があります。

    1. 低炭素まちづくりの特徴

    ・まちづくりと公共交通などを一体的に計画することで、様々な施策を総合的に取り組むことができます。
    ・民間や住民が主役となり、行政がこの取り組みをサポート・コーディネートする、
      官民一体となったまちづくりの仕組みです。


    2. 低炭素まちづくり協議会

    ・地域の関係者が活発な議論を交わし、相互に連携して取り組めるような連絡調整の場として、
      「低炭素まちづくり協議会」を設置して推進します。


    3. 他の計画との関係

    ・低炭素まちづくり計画は、「都市・地域総合交通戦略」や地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく
     「地方公共団体実行計画」などの関連する他計画と一体化して策定することができます。


    4. 予算による取組み支援

    事業の内容、国の支援内容および予算に対する国の財政支援割合を下表に纏めてみま した。


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  • おわりに


  •  日本列島は、猛暑を通り越した「激暑」や今まで経験したことのない記録的な大雨など、 地球温暖化に起因した気候変動によると考えられる異常気象に見舞われております。
     都市部では、夜間も地表温度がほとんど下がらず、ヒートアイランド現象が益々激しくなるばかりです。

     本レポートを執筆中、頭に浮かんだのは田中角栄氏の提唱した「日本列島改造論」で した。1972年に提唱された「日本列島改造論」は、著しい発展・成長を続ける社会情勢 にあって「工業の再配置及び交通・情報通信の全国ネットワークの形成をテコに、人とモ ノの流れを巨大都市から地方に逆流させる地方分散の推進」が趣旨でした。
     日本列島改造論の提唱から40年後の現在、大都市への一極集中、少子化、超高齢化社会の到来など、様々なひずみが生じております。

     「エコまち法」は、CO総排出量の4割を占める都市の排出量を削減するための環境法令ですが、大前提は都市機能の集積、コンパクト化です。
     医療、福祉施設や共同住宅など日常生活に必要な都市機能が集積され、高齢者や子育て世帯が生活し易い、環境に配慮したエコまち」に日本列島の各都市を再構築しようとする法令です。



    (参考資料)
    ・エコまち法の概要(国土交通省 都市局)
    http://www.mlit.go.jp/toshi/city_plan/eco-machi-haikei.html


    ・国の支援についての詳細は、地方自治体又は国土交通省 都市局 都市環境計画係(tel:03-5253-8111 内線32-667)にお問い合わせ下さい。


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