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持続可能な社会の実現に向けて国連で採択された目標の総称:SDGs「持続可能な開発目標( Sustainable
Development Goals)」を指します。
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。先進国・途上国、公式・非公式の組織・団体の如何を問わず、望ましい社会の実現に向け、2030 年を達成年限とし、『17項目のグローバルな目標(Goals)』(図1)と169のターゲットから構成されてます。
図1:17項目のグローバルな目標(Goals)』
「SD(Sustainable Development)」という用語は1980年代から開発(Development)という用語に持続性(Sustainable)という概念が取り入れられたもので、「持続可能な開発」が要求されるようになりました。
1992年のリオサミットで採択された、「アジェンダ21」により、各国・国際機関の実施すべき取組みは「行動計画」としてまとめられ、「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」等の条約化が義務付けされました。「改正省エネ法」、「地球温暖化対策法」、「生物多様性保護法」等の国内法が整備され、企業・事業活動を規制するものとなっています。
二酸化炭素(CO2)排出削減については京都議定書約定期間終了後、パリ協定に継承されています。現在、日本政府は2030年までに26%削減、2050年には実質的に二酸化炭素排出ゼロ(カーボンフリー)を公約し、様々な技術革新を加速させるための税制や補助金制度を検討しています。特に注意することはCO2に価格を付けるカーボンプライシング制度が検討されていることです。
SDGsの根幹にある「持続可能な開発」は、「将来世代のニーズを損なわずに、現役世代のニーズを満たす開発」を取組みテーマとし、温暖化対策はSDGsのテーマの一つとされています。
環境問題や社会問題の視点を経営に取り入れることにより、将来的なリスクを軽減できることのみならず、課題解決のために生まれる新規市場に参入するチャンスを得る可能性があることを意味します。
欧州の公的年金ファンドなどはESG投資*として積極的に環境・社会投資を実施しています。わが国でも2017年には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資に1兆円規模の投入を決めています。
コロナ禍の中で、企業を取り巻く社会環境は大きく変化し、働き方の変革やデジタル化の進展など、大きな変革の時代を迎えており、SDGsへの取組みにより、変革への対応等、以下の効果が期待されています。
SDGsへの取組みにより、利害関係者に「この会社は信用できる」、「この会社で働いてみたい」という印象を与え、人材確保など、企業にとってプラスの効果をもたらします。
SDGsの取組みを進める中で、社会の課題と自社の事業の関連性を認識し、経営リスクの回避、新たな事業展開、社会貢献や地域の信頼獲得など様々な効果を確認できます。
新興国の台頭など企業の生存競争はますます激しくなっています。SDGsへの取組みが、取引条件になる可能性もあり、経営戦略構築の視点を提供します。
世界的なニーズがあるテーマが示されているので、取組みをきっかけに、地域との連携、新規の取引先や事業パートナーの獲得、新事業の創出等を生むことにつながります。
わが国では昨今少子高齢化による人材不足や事業承継等の課題、また、消費者ニーズの多様化等により、売上の大きな変化に伴うビジネスモデルの転換等の課題を抱える企業が多いのではないでしょうか。企業が将来にわたって継続してビジネスを展開し、より高いレベルで発展していくために必要となるのが長期的な視点で社会のニーズを重視した経営と事業展開です。
未来を見据え、世界の潮流を見失わないこと−アフターコロナを見据えて、経営リスクを回避するとともに、新たなビジネスチャンスを獲得して持続可能なビジネスを追求するためのツールとして、SDGsへの取組みは検討する価値があるとして注目されています。