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東京都は、知事を先頭に環境問題解決のため非常に熱心に取組んでいる自治体です。
特に地球温暖化対策に関しては、温室効果ガス(GHG)であるCO2削減では国以上に厳しい条例が施行されております。
2011年12月、東京都から「自動車からのCO2削減対策について」というタイトルで、運送事業者を対象とするCO2削減策が提案されました。これは、東京都のCO2排出量の約25%を占める自動車分野に対する削減対策の一環ですが、運送事業者の所有するトラックを対象にしているのが特徴です。
まだ制度として明確ではありませんが、2013年度から運用開始としております。
今回はこの制度に関するこれまでの情報をまとめてみました。
東京都の地球温暖化対策
2008年(平成20年)に策定した東京都環境基本計画で、「2020年までに東京都のGHG
排出量を2000年比で25%削減する」、という目標を掲げております。
この目標を達成するための主要な制度をまとめてみました。
GHG排出量削減対策 |
対策の概要
|
大規模事業所における対策 |
・エネルギー使用量が原油換算で年間1500kL以上の大規模事業所を対象。 |
中小事業規模における対策 |
エネルギー使用量が年間30kLから1500kL未満の事業者、又は複数の事業所を有する場合にはエネルギー合計使用量が3000kL以上の事業者を対象とする制度。年間30kL未満の場合は任意提出。 |
新建築物及び大規模開発における対策 |
オフィスビルやマンションなどの新築・増築時に環境配慮を求める制度で、エネルギー使用の合理化やヒートアイランド現象の緩和を推進。 |
再生可能エネルギーの利用促進 |
・太陽エネルギー利用拡大連携プロジェクト(住宅用創エネルギー機器の補助制度など) |
特定エネルギー供給事業者における対策 |
電気事業者に対する制度で、CO2削減を推進して電気の環境性を向上。 |
その他の対策 |
・環境金融プロジェクト |
運送事業者の所有するトラックを対象とするCO2削減策
この制度の概念は下図で示しますが、「分かる」と「選ぶ」がキーワードとなっております。
35万台に及ぶデータに基づいた評価指標(ベンチマーク)を設定することで、運送事業
者のCO2削減に向けた努力の違いが分かるようになります。
荷主はCO2削減に努力している事業者から選べる、すなわちCO2削減に向け努力した運送事業者に対する受注機会の増加も期待したインセンティブ制度になっております。
1.評価指標(ベンチマーク)の設定
ベンチマークは、様々なトラック35万台の走行距離と給油量を1ケ月毎に集計して
データベース化し、約2年かけて統計分析を実施して設定されました。
ベンチマークは下記を考慮して設定されております。
1) 各種自動車の特性を把握・分類し、同じ土俵で比較できること。
2) 運送事業者が自分の努力を容易に把握できる指標であること。
給油量と走行距離で得られる「実走行燃費(km/L)」をベンチマークに設定
2.ベンチマークの詳細設定(ランク分け)
下図は、データベースから、最大積載量3〜4tキャブオーバートラック(軽油)を層別した例です。
最高で9.5、最低で1.3となっております(平均5.5)。
他の車種も車種や使用用途などで層別すれば同様な結果となることから、AからDの4ランクに分けてどのランクに属しているかを評価するとにしています。
※AからCランクまでで約90%が該当する
3.車種のグループ化
同じ土俵でランク分けするには車種のグループ化が必要です。
データベースから、車種、燃費基準、燃料の種類や車両総重量などの要素に層別した結果、「車種」・「燃料の種類」・「車両総重量」の3要素が実走行燃費に大きく影響しており、これに外観や使用用途を加味して「39グループ」に分類すれば、各グループのどのランクに属するかが評価できることが分かりました。
今後の動き
1.運送事業者の定量的な評価と公表する仕組み
(2013年度〜2014年度)
1) 企業規模を問わず東京都から評価を受けたい運送事業者は評価を受けられる仕組みを構築。
2) 東京都は運送事業者の車種を39グループごとに評価したうえで総括し、運送事業者をランク評価。
3) 東京都はランク評価した運送事業者を公表し、都民や荷主に対して利用を推奨するようにPR。
2.グリーン購入活動として一定評価以上の運送事業者を選定
(2014年度〜2015年度)
日本全国の主な企業や自治体が加盟する「グリーン購入ネットワーク」に協力を依頼するとともに、東京都は積極的に利用するとしております。
おわりに
本制度に参加する運送事業者に対するインセンティブ制度ですが、利用する都民や事業者が環境への貢献と経済性のどちらを選択するかがポイントとなります。
(参考資料) |